植物販売業 A社様(社名非公開)


こんにちは。株式会社船井総合研究所 DXコンサルティング部の松田です。
今回は 植物販売業 A社様 の成功事例をご紹介します。
A社様は、従業員50名規模の中小企業です。
植物や園芸用品の販売とエクステリアの施工をされています。
近年、インターネットやスマートフォンの普及で消費者自身による情報収集が容易になったことや
市場の成熟により製品・サービスの差別化が難しくなったことなどを背景に、
CX(カスタマーエクスペリエンス/顧客体験価値)が重要視されています。
A社様でも、メール配信を通じて顧客との関係性を深めたり、次の購買や利用に繋げるための個別アプローチをしたりして、
CX向上に効果的な施策かつ人手をあまりかけない運用を実現したいとのお考えがあり、船井総研にご相談をいただきました。
導入前の課題
課題1.MA機能不在による、非効率で画一的なマーケティング
A社様では、船井総研へのご相談以前からCRM(顧客管理システム)を利用されていました。
しかし、既存のCRMにはMA(マーケティングオートメーション)機能がなく、メール配信には別のシステムを使用しており、
CRMとメール配信でシステムが連携していなかったことがA社様にとっての大きな課題でした。
メールを送るたびにCRMから最新のリストを手作業で抽出し、
メール配信システムへ手動インポートする、という面倒な手間が発生していたのです。
さらに、この配信方法ではCRMで蓄積している顧客ランクや詳細な購買履歴といった重要な情報を引き継げませんでした。
その結果、CRMで顧客ごとの興味・関心や利用状況を管理できているにも関わらず、
毎回リスト抽出の手間をかけながら全員に同じ情報を一括配信することしかできていませんでした。
課題2.システム間の「壁」によるLTV向上機会の損失
A社様は、植物園の来場者や園芸用品の購入者と、
イベントの参加やエクステリア施工といった次のステップへ繋がる長期的な関係を築きたいと考えていました。
しかし、顧客情報や購買履歴をCRMで管理しているものの、
CRMに蓄積したデータをマーケティング目的で分析・利用する仕組みがなく、
折角のデータも「宝の持ち腐れ」の状況でした。
例えば、CRMとMAが分断されているために
「どの園芸用品を購入した顧客がリピーターになりやすいのか」
「リピーターの中で、どの層がエクステリアに関心を持つ可能性が高いのか」
といった顧客の行動や関心の繋がりをデータから読み解って利用することが困難でした。
そのため、クロスセルやアップセルを行うのに十分なデータを持っていながらも、多くのチャンスロスが生じていました。
導入後の効果
Zoho CRM Plus 導入によりCX向上を実現!
これらの課題を抜本的に解決するため、A社様では2023年に、
CRMとMA機能がシームレスに統合された「Zoho CRM Plus」の導入を決断されました。
なお、A社様が数多くあるシステムからZoho CRM Plusを選ばれたのは、
Zoho CRM Plusが点在していた顧客接点のデータを一元化し、マーケティング活動に直結できるプラットフォームであることが決め手でした。
A社様ではまず、顧客情報を中心に、実店舗で利用しているPOSシステムの購買データ(植物の種類、購入頻度など)、
エクステリア事業の施工履歴、Webサイトからの問い合わせ履歴といったあらゆる顧客接点データをZoho CRM Plusに統合しました。
なお、これらのデータの一部は既存CRMでも管理していましたが、CRMとMAの連携やデータ活用の自由度を重視され、
既存CRMからZohoへの移行(乗り換え)を選択されました。
Zoho CRM Plusの強みの一つは、CRMとMAの機能が標準で完全に連携している点です。
CRMには「Zoho CRM」を利用し、MAには「Zoho Campaigns」を利用するのですが、
これら二つのアプリケーションは簡単に連携でき、登録情報の相互利用もできます。
Zoho CRM Plusに移行したことで面倒なリスト作成作業はなくなり、
CRM内の詳細なデータ(購買履歴、顧客ランク、行動履歴など)に基づいたセグメント配信が可能になりました。
具体的には、「VIP顧客への限定オファー」「エクステリア検討層への事例紹介」「特定レッスン参加者への関連情報提供」など、
LTV向上に繋がる、顧客一人ひとりに響くコミュニケーションを簡単に実現できるようになりました。
参考情報
「Zoho CRM Plus」とは何ですか?
Zoho CRM Plus(ゾーホー シーアールエム プラス)とは、ZOHO社が開発・提供している様々な業務用アプリケーションのうち、人気の15個をパッケージにしたサービスの名称です。
「Zoho CRM」と「Zoho CRM Plus」は何が違うのですか?
「Zoho CRM」単体契約で使用できるアプリケーションはZoho CRMのみです。
一方、「Zoho CRM Plus」は、Zoho CRMを含め、下記15個のアプリケーションを使用できます。
- Zoho CRM(顧客管理・営業管理)
- Zoho Desk(カスタマーサポート)
- Zoho Analytics(分析・レポート)
- Zoho Projects(プロジェクト管理)
- Zoho WorkDrive(ファイル共有)
- Zoho SalesIQ(WEB接客・追客)
- Zoho Survey(アンケート)
- Zoho Marketing Automation(マーケティング自動化)
- Zoho Campaigns(メールマガジン配信)
- Zoho LandingPage(ランディングページ制作・管理)
- Zoho PageSense(アクセス解析)
- Zoho Social(SNS管理)
- Zoho Webinar(ウェビナー)
- Zoho Backstage(イベント管理)
- Zoho Cliq(チャット)
Zoho CRM Plusの費用について教えてください!
2025年4月現在のZoho CRM Plus利用料金は下記の通りです。
- 月額契約時:8,280円(1ユーザー/月)(税別)
- 年間契約時:6,840円(1ユーザー/月)(税別)
Zoho×LINE連携によるCX向上を実現!
さらに、ZohoのAPI機能を活用し、Zoho CRMとLINE公式アカウントとの連携も実現しました。
メール配信と同様、LINEで収集可能な友達情報でしかセグメントできなかったメッセージ配信が、
CRMの豊富な顧客情報と紐づけて利用できるようになり、よりパーソナライズされた情報発信が可能になりました。
具体的には、下記のような配信をされています。
- 季節の花苗購入客宛:購入内容にあわせた新入荷商品やエクステリア施工サービスを案内
- イベント参加者宛:次回イベントを案内
- エクステリア施工客宛:メンテナンスや追加工事を案内
- 造園サービスの問い合わせ客宛:会社やサービス内容の紹介
- 造園サービスの保留・失注(他決を除く)の見込客宛:掘り起こしにつながる内容を案内
これらのご案内により、リピート客によるアップセル・クロスセルの増加、成約率の向上、休眠顧客の掘り起こしを実現しました。
LTVが平均1.7倍も向上!
Zoho CRM Plus(Zoho CRM・Zoho Campaigns)で顧客データを統合し、メールやLINEメッセージで個別アプローチの基盤が整ったA社。
次に取り組んだのは、LTV(ライフタイムバリュー/顧客生涯価値)向上のための「効果測定」と「改善活動」の本格化です。
今後実施するメールマガジンやLINEでの販促活動がどの程度の効果があったのかを確認すべく、
Zoho Campaignsのレポート機能でメールのコンテンツ毎の反応(開封、クリック、コンバージョン)を分析。
何の情報が顧客の行動変化を促したかを把握できるようにしました。
また、Zoho CRM Plus上のデータをPower BI※1に連携し、顧客ランクの変化やLTVの推移をダッシュボードで定点観測。
施策が顧客育成とLTV向上に実際に貢献しているかを継続的に確認できる仕組みを作りました。
※1…Power BIとは、Microsoft社のビジネスインテリジェンスツールの名称です。
この「データに基づく見える化」と「施策の最適化」のサイクルは、LTV向上の原動力となりました。
具体的には、マーケティング施策を検討する際に重要な検討事項、
- Who:どの顧客セグメントに
- When:どのタイミングで
- What:どのような情報(例:再来店促進、関連商品提案、高単価サービス案内)を案内するか
これらについて、何をどのように発信すれば顧客との関係が深まり、長期的な購買に繋がるかがデータで可視化できるようになったのです。
可視化されたデータを活用してメールやLINEメッセージでのマーケティング施策を実施した結果、
一回きりの利用で終わっていた顧客がリピーターへ、リピーターが高単価なエクステリア顧客へと着実に成長。
Zoho導入前と比較して、顧客一人あたりのLTVを平均1.7倍に向上させるという成果を達成しました。
まとめ
Zoho CRM Plusの導入は、A社様にとって単なる新ツールの導入・CRM移行に留まらず、
「LTV(顧客生涯価値)向上」という経営目標を達成するための戦略的プラットフォームとなりました。
データに基づき顧客を深く理解し、個別最適化されたコミュニケーションを行うことで、
顧客との長期的な関係を築き、収益構造を変革したのです。
A社様の事例は、CXやLTV向上を目指すすべての企業にとって、顧客データの統合と活用がいかに重要かを示しています。
Zoho CRM Plusは、その挑戦を成功に導くための強力なパートナーとなるでしょう。
本事例のように、船井総研には既存CRMからZohoへのシステム移行事例が数多くございます。
現行システムに何か課題感をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

船井総研はZohoの認定パートナーです!
船井総研では、コンサルティング会社として中小・中堅企業様をご支援する中で、
Zohoを利用した業務改善も多数行っています。
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