開発現場で役立つ!Zoho CRMの「Deluge」と「クライアントスクリプト」実践比較!

はじめに

本記事は、船井総研の社内エンジニアが、エンジニアなどシステム開発担当者向けに執筆しています。
そのため、一部に専門用語や専門的な表現が含まれます。

予めご了承ください。


Delugeとクライアントスクリプト
~カスタマイズを始める前に知るべき基本~

「Deluge」と「クライアントスクリプト」について

Zoho CRMを単なる顧客管理ツールとして使うだけでなく、
自社の業務フローに完璧にフィットさせるためには、カスタマイズが不可欠です。

そのカスタマイズを実現する主要な方法が「Deluge」と「クライアントスクリプト」です。

Deluge(デリュージ)とは

DelugeはZohoが独自に開発したプログラミング言語です。
主にバックエンドの処理やシステム間の連携を得意とします。

クライアントスクリプトとは

Zoho CRMのクライアントスクリプトは、JavaScriptをベースにしたコードです。
ユーザーがZoho CRMの画面を操作する際の動きを制御したり、入力補助を行ったりするなど、
フロントエンドの機能強化に強みを発揮します。


これら二つのカスタマイズ手法を適切に使い分けることで、
Zoho CRMを自社のビジネスに最適化された強力なシステムへと進化させることができます。

Delugeとクライアントスクリプトの「動作環境」の違いを知ろう!

Delugeとクライアントスクリプトの大きな違いは、「コードがどこで実行されるのか」。
つまり、サーバーサイドなのか、それともクライアントサイドなのか、という動作環境にあります。

Deluge=サーバーサイドスクリプト

Delugeは、Zohoのサーバー側で実行される「サーバーサイドスクリプト」です。
これは、Zoho CRMにデータを保存したり、他のシステムと連携したりする際に、
裏側で複雑な処理を行うのに適しています。

例えば、リードが作成されたら自動で特定のタスクを生成したり、
売上データに基づいて別のシステムに情報を送ったり、といったユーザーの目に触れない部分の自動化やデータ処理が得意です。

クライアントスクリプト=クライアントサイドスクリプト

クライアントスクリプトは、
PCやスマートフォンなどのデバイス上で動作する「クライアントサイドスクリプト」です。

これは、ウェブサイトを閲覧する際にブラウザがウェブページを動的に表示するのと似ています。

ユーザーがZoho CRMのフォームに入力する際、リアルタイムで入力値のチェックを行ったり、
特定の条件に応じて表示されるフィールドを変えたりするなど、
ユーザーインターフェース(UI)やユーザー体験(UX)の向上に直接的に貢献します。

Delugeとクライアントスクリプトの「特性」の違いを知ろう!

DelugeとZoho CRMクライアントスクリプトには、それぞれ得意なことがあります。

Delugeの得意なこと

Delugeは、データの自動処理、ワークフローの自動化、外部システムとの連携、定期的なバッチ処理など、
Zoho CRM内のデータを操作したり、他のZohoサービスや外部SaaSと連携したりするような、
サーバー側で安定した処理が求められる場面で真価を発揮します。

例えば、契約情報が更新されたら請求書を自動発行し、
会計システムへ連携するといった複雑な業務プロセスも構築可能です。

クライアントスクリプトの得意なこと

クライアントスクリプトは、フォームの入力規則のリアルタイム検証、
特定の選択肢に応じたフィールドの動的な表示・非表示、
ユーザーの操作に合わせたアラート表示、計算フィールドのリアルタイム更新など、
ユーザーの操作に直結するUI/UXの改善や入力補助に最適です。

ユーザーが誤った情報を入力するのを防いだり、
より直感的にZoho CRMを操作できるようにしたりするのに役立ちます。

それぞれの特性を理解し、実現したいことに合わせて適切に選択することが重要です。


具体的なユースケースで比較!
Delugeとクライアントスクリプトの使い分け

パフォーマンス・セキュリティ・開発のしやすさで見るメリット・デメリット

Delugeとクライアントスクリプトは、パフォーマンス、セキュリティ、開発のしやすさでも違いがあります。

Delugeのメリット・デメリット

パフォーマンス

Delugeはサーバーサイドで実行されるため、
大量のデータ処理や複雑なロジックを比較的安定して実行できます。

セキュリティ

ユーザーが直接コードに触れることがないため、情報漏洩のリスクは低いです。

開発のしやすさ

Zohoが提供する直感的なIDE(統合開発環境)と豊富な標準関数により、
比較的短期間で学習し実装できます。
ただし、JavaScriptの知識だけでは完結しないためにDeluge独自の学習が必要です。

クライアントスクリプトのメリット・デメリット

パフォーマンス

ユーザーのブラウザ上で動作するため、複雑な処理や不適切なコードはパフォーマンスに影響を与え、
Zoho CRMの動作を遅くする可能性があります。

セキュリティ

JavaScriptの知識があればコードを閲覧・改変できるため、
悪意のあるスクリプトが混入しないよう注意が必要です。

開発のしやすさ

JavaScriptの一般的な知識があれば比較的容易に学習でき、
多くの開発者が馴染みやすいというメリットがあります。

用途に応じてこれらの点を考慮し、最適な方を選択することが重要です。

事例で学ぶ! Delugeの活用法:業務自動化とデータ連携

Delugeは、中小企業の業務自動化とデータ連携において絶大な効果を発揮します。

例えば、新規のリードがZoho CRMに登録された際、そのリード情報に基づいて特定の部署に通知を送り、
自動的に営業担当者にタスクを割り振る、といった一連のプロセスをDelugeで自動化できます。

これにより、手作業によるミスをなくし、リードへの対応速度を大幅に向上させることが可能です。

また、会計システムや在庫管理システムといった
外部システムとZoho CRMのデータを連携させることもDelugeの得意分野です。

例えば、Zoho CRMで受注が確定したら、Delugeを使って会計システムに自動で請求データを作成したり、
在庫管理システムから商品の在庫情報を取得してZoho CRMに表示させたりといったことが実現できます。

これにより、部署間の情報連携がスムーズになり、
データ入力の手間やタイムラグを削減し、業務全体の効率化に大きく貢献します。

事例で学ぶ! クライアントスクリプトの活用法:UI/UX改善と入力補助

Zoho CRMクライアントスクリプトは、Zoho CRMのUI/UX改善と入力補助において非常に強力なツールです。

例えば、顧客情報の入力フォームで特定業種を選択した場合にのみ、関連する詳細フィールドを表示するように設定することで、
入力すべき情報が明確になり、ユーザーは迷うことなく正確なデータを入力できます。

これにより、入力ミスを減らし、データの品質向上に貢献します。

また、金額の入力フィールドで、リアルタイムで合計金額を計算し、表示するといったことも可能です。

これにより、ユーザーは計算機を使う手間を省き、即座に結果を確認できるため、入力作業の効率が向上します。

さらに、必須項目が未入力の場合に、具体的なメッセージとともに注意喚起を行うことで、情報の抜け漏れを防げます。

このように、クライアントスクリプトはユーザーがZoho CRMをより直感的かつ効率的に操作できるよう、
きめ細やかな入力サポートを提供することで、業務効率とデータ精度を高めます


中小企業DX推進の視点から考える!
最適なカスタマイズ戦略とは

連携させると効果絶大!Delugeとクライアントスクリプトの組み合わせ技

DelugeとZoho CRMクライアントスクリプトは、それぞれ単独でも強力ですが、
両者を組み合わせることで、Zoho CRMの可能性を最大限に引き出し、より高度な業務プロセスを実現できます。

例えば、リードの新規登録時に、クライアントスクリプトで入力情報をリアルタイムで検証し、入力ミスを防止。
そのデータがZoho CRMに保存された後、Delugeが起動し、入力情報に基づいて自動で外部の与信システムと連携、
与信結果をZoho CRMの該当フィールドに自動で書き込む、といった一連の流れを構築できます。

また、特定のボタンをクリックした際に、クライアントスクリプトがそのイベントを検知し、
Delugeファンクションを呼び出してサーバーサイドで複雑な計算やデータ処理を実行。
その結果を再びクライアントスクリプトで画面上に表示するといった連携も可能です。

このように、フロントエンドとバックエンドの強みを組み合わせることで、
ユーザーの操作性向上と裏側の業務自動化を両立させ、中小企業のDXを強力に推進できます。


自社ビジネスに最適なカスタマイズを見つけるために

ご紹介してきたように、Delugeとクライアントスクリプトのは様々な違いや特性があります。
そのために、「どちらが自社ビジネスに最適か?」という問いに対する答えは、一概には言えません。

重要なのは、自社のビジネスが抱える具体的な課題やZoho CRMで実現したいことを明確にすることです。

もし、データの自動処理、他システムとの連携、複雑なワークフローの自動化が主な目的であれば、
Delugeがその中心的な役割を担うでしょう。

一方で、Zoho CRMの入力画面の使い勝手を改善したい、ユーザーの入力ミスを減らしたい、
より直感的な操作性を追求したいのであれば、クライアントスクリプトが活躍します。

多くの場合、これら二つのテクノロジーは相互に補完し合い、連携させることで最大の効果を発揮します。

中小企業のDX推進には、これらのカスタマイズ機能を戦略的に活用し、業務効率の向上、データ品質の改善、
そして最終的には売上アップに繋げることが不可欠です。

もし、どちらの技術を選べば良いか迷われる場合は、船井総研のZoho導入・運用支援サービスをご検討ください。

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