ふとしたときの落とし穴!アーカイブ機能には要注意!

はじめに

本コラムは、

クラウド型CRM(顧客関係管理)であるZohoもしくはSalesforceをすでに利用されている方

これからそれらのツールを導入しようと検討されている方に向けたコラムです。

特に今回は、データのアーカイブについて知りたい方々に是非読んでいただきたいコラムです。

ZohoやSalesforceを例に挙げながら、アーカイブ機能の基本から注意点、

Salesforceの活動アーカイブに直面した筆者が行った運用回避策をご紹介します。



■そもそもアーカイブとは

CRMにおけるアーカイブ機能とは、使用頻度が低い、あるいは一定期間が経過したデータを、

システムから完全に削除することなく、別の保管場所に移動・整理する機能です。

これにより、メインシステムのデータ容量削減、処理速度の向上、

ひいてはパフォーマンス向上が期待できます。


アーカイブと「削除」は混同されがちですが、その意味合いは大きく異なります。

データ「削除」がその情報をシステムから完全に消去する(多くの場合、復元不可)のに対し、

アーカイブはあくまで「非表示化」や「別保管」です。

必要に応じてデータを参照したり、特定の条件下で復元したりできるのが

アーカイブの大きな特徴でありメリットです。

■Salesforceのアーカイブ機能:活動アーカイブ

前提の説明

Salesforceにおいてアーカイブされるデータとは「活動」オブジェクトのことを指します。

活動オブジェクトでアーカイブされるデータの対象は以下です。

  • 終了日から365日以上経過した行動
  • 期日から365日以上経過した完了済みのToDo
  • 期日無し、かつ、作成日から365日以上経過したToDo

アーカイブされたデータには以下のルールが適用されます。

アーカイブ前後で変わらないこと

  • 活動履歴の関連リストで「すべて表示」を選択して表示する
  • 表示された活動を編集する
  • 活動を印刷用に表示する
  • DataloaderのExport Allで出力する

アーカイブ前後で変わること

  • グローバル検索で検索結果に表示されなくなる
  • レポートに表示されなくなる
  • SOQLで取得できなくなる
  • リストビューに表示されなくなる
  • DataloaderのExportで出力されなくなる

アーカイブ前後で変わる事、これが本コラムのメイントピックです。

  • グローバル検索でHITしなくなることで、必要情報が抜け落ちる可能性があります。
  • レポートに表示されなくなってしまうことで、過去の接触件数の把握ができなくなってしまいます。
  • SOQLに表示されなくなる(SELECTの結果に含まれない)ことで、例えば活動のデータから帳票を作成していた場合、かつ、活動アーカイブを意識していなかった場合、ある日突然帳票にデータが出力されなくなってしまいます。

アーカイブ自体はパフォーマンス改善の為の機能なので、決して悪い機能ではありません。

必要なのは、その仕様を認識し、適切な設計と運用を行うことです。

アーカイブの期間を延ばす方法

アーカイブ処理が起動されるのは基本的には365日が基準ですが、

その基準はSalesforceに申請することで、最大10年に延長することも可能です。


ただし、Salesforceの推奨としては、1年~3年程度の長さを推奨しています。

これは、パフォーマンスを意識したものです。

活動オブジェクトはSalesforceのオブジェクトの中でも特に件数が増加しやすいオブジェクトと

言われており、件数が多いと画面表示の時間がかかりすぎてしまい、

ユーザビリティを低下させることを危惧しています。

ユースケース:行動のデータを帳票へ出力する場合

行動を議事録代わりに利用されている企業様は一定多数いらっしゃるかと思います。

サードパーティ製品を使い、その議事録をドキュメントに出力しているケースもあるかと思います。

そんな中、活動アーカイブが実行された後では、過去の議事録を出力できないという問題に直面します。そんな状況に陥った場合の回避策を2点ご紹介します。

  • 活動オブジェクトの機能を諦め、別のカスタムオブジェクトで管理する


    元も子もないかもしれませんが、
    アーカイブされるのは活動オブジェクトのみですので、それを使わないという選択肢です。最も簡単な回避策であり、帳票出力もそのカスタムオブジェクトを使用します。
    ただし、活動オブジェクトには様々な機能(タイムライン表示、検索、フィルタ、カレンダ連携)
    がありますので、それらを使用しなくて良いという判断が可能な場合に限ります。

  • 活動オブジェクトの利便性はそのままに帳票出力だけしたい様な時


    活動オブジェクトのコピーオブジェクトを作成する方法です。
    フロント機能は活動オブジェクトの機能をそのまま利用し、活動の作成や更新が行われた時に
    バックグラウンドでコピーオブジェクトにデータをコピーすることで実現できます。
    帳票出力の際にもコピーオブジェクト側のデータを使用すれば全く問題ありません。
    SOQLでアーカイブ済みのデータはヒットしないのですが、
    アーカイブ済みのデータの更新をトリガーにすることは可能なのです。

■ZohoCRMのアーカイブ

結論から申し上げると、ZohoCRMにはアーカイブ機能はありません


アーカイブ機能がない事により、エンジニアはSalesforceの時の様なユースケースを考える必要がないのです。

補足として、CRM以外の製品には、手動でレコードをアーカイブする機能も用意されている為、

使うデータ、使わないデータをユーザ自身で選択する事も可能です。


プログラムを仕込めば、Salesforceの様に特定の条件下において、

レコードを自動でアーカイブ状態にするということも可能になります。

おわりに

今回の様な活動アーカイブの機能は知っている人は知っている機能です。

この仕様を理解してSalesforceで構築を行うか、その仕様検討が不要なZohoで構築を行うか。

どちらにもメリットデメリットがあることをご理解いただきたく存じます。

ZohoとSalesforceのどちらを導入するのがベストか選びあぐねている場合は、

両サービスの導入支援企業である船井総研にお気軽にご相談ください。

また、船井総研のZoho導入支援実績は800社以上、Salesforceからの移行実績も多数ございます。

事例豊富だからこそ、御社にとって適切な構成・工数・価格にてZohoへの移行のお手伝いができます。

既にSalesforceからZohoへの移行をご検討中の企業様も、是非お気軽にご相談くださいませ。

船井総研はZohoの認定パートナーです!

船井総研では、コンサルティング会社として中小・中堅企業様をご支援する中で、
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