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はじめに
2025年5月、アメリカ・ヒューストンで開催された「Zoholics USA 2025」に、
私たち株式会社船井総合研究所のエンジニアが参加してきました!
本コラムでは、このイベントで発表された重要な内容を、皆さんにわかりやすくお伝えします!
また、youtube動画も公開していますので、よろしければ本記事と一緒にご覧ください!
Zoholicsとは?
Zoholics(ゾーホリクス)とは、Zoho社が毎年開催するユーザー向けのイベントの名称で、
インドや日本のみならず、アメリカ、ヨーロッパ諸国など、世界各地で開催されています。
Zoholicsでは数多くのワークショップが開催され、ユーザーはZohoの最新情報を入手できるだけでなく、
Zohoや様々なパートナー企業、ユーザー間のコミュニケーションの場にもなっています。
Zoholics USA 2025:イベントのハイライト
【Zoholics USA 2025 開催概要】
期間:2025年5月13日~15日
場所:GRBコンベンションセンター(アメリカ・テキサス州ヒューストン)
参加費:$350(メイン2日間)、$650(ワークショップ付)
Zoholics は「Zoholics Japan」の名称で日本でも開催されていますが、
特に本国インドやZohoユーザー数が最も多いアメリカでは、日本よりもはるかに大きな規模で実施されています。
アメリカ・ヒューストンでは初開催とのことですが、下記画像のとおり、
コンベンションセンターの1フロアを貸し切って本イベントが開催されました。



今回のイベント内で行われるトークセッションやワークショップは、その数なんと100個以上!
当社は3人で参加したため、残念ながら全部の聴講はできませんでしたが、
厳選に厳選を重ねて聴講した12個のワークショップで特に印象的だったのは、以下の3つのポイントです。
- AIの全面的な活用:
AIを単なるツールとしてではなく、ビジネスのあらゆる場面で活用していくというZohoの強い意志が感じられました。 - 「CRM for Everyone(誰もがCRMを)」という考え方:
顧客管理(CRM)の機能を、営業やマーケティングだけでなく、人事、法務、経理、サポート、製品開発など、お客様と関わるすべての部署で使えるようにするという、画期的なアプローチです。 - 徹底した自動化の推進:
複雑な業務プロセスを自動化し、企業がより創造的な仕事に集中できるように支援することを目指しています。
Zohoは、顧客体験の向上と、ビジネスにおける深い洞察を得るために、
AIを実用的かつ倫理的に活用することを重視しています。
具体的には、自社でAIモデルやインフラに投資することでデータのプライバシーとセキュリティを最優先し、
費用対効果の高い方法でAIを提供しようとしています。
このイベントでは、「Ziaエージェント」や、米国で正式にサービスを開始した「Zoho Payments」、
法人向けウェブブラウザ「Ulaa Enterprise」など、多数の新製品やAIを活用した機能が発表されました。
これらはすべて、Zohoが提供する「統合されたビジネスオペレーティングシステム」をさらに強力にするものです。
これにより、どんな規模の企業でも、複雑な業務を自動化し、イノベーションと成長に集中できるようになることを目指しています。
船井総合研究所から見たZoholics USA 2025
船井総合研究所から見たZoholics USA 2025は、
ビジネスソフトウェアがこれからどこへ向かうのかを明確に示した、非常に重要なイベントでした。
Zohoのメッセージは、
「AIをあらゆる場所に浸透させ、高度な機能を誰もが簡単に、そして実用的に使えるようにする」
という、彼らの積極的なビジョンに集約されています。
これを実現するために、Zohoは自社のすべてのアプリケーションにAIを組み込み、
従来の部署ごとの壁を取り払う「CRM for Everyone」のアプローチを推進し、
複雑な業務を自動化するツールを提供しています。
特に注目すべきは、顧客のプライバシーとデータセキュリティを重視するZohoの姿勢です。
自社でAIモデルやインフラを開発することで、倫理的で費用を抑えたAIアプローチを貫いています。
イベントの構成も工夫されていました。
メインのカンファレンスに先立ち、専門的なハンズオンワークショップが開催され、
参加者はZohoツールの深い知識を習得する機会を得ました。
また、Zohoの専門家から個別のアドバイスが受けられる1対1のセッションもあり、
ツールの実用的な導入や効果的な活用が促進されました。
このような取り組みは、顧客満足度を高め、Zoho製品の熟練した利用を促し、
それが結果的に顧客の成功を通じてZoho自身の成長を支えるものだと考えられます。
Day 1:AIと自動化のビジョン
Zoholics USA 2025の初日(5月14日)は、Zohoのリーダーたちによる基調講演と、
重要な新製品の発表で幕を開けました。
この日の主な目的は、AIと自動化がビジネスの効率と意思決定をどのように変えていくかという、
Zohoの全体的なビジョンを参加者に伝えることでした。
特筆すべき発表の一つは、「Zoho CRM for Everyone」の正式なサービス開始です。
これは、CRMの機能を従来の営業・マーケティング部門だけでなく、
人事、法務、財務、サポート、製品開発チームなど、顧客と直接関わるすべての部署に広げるものです。
部署間の壁をなくし、企業全体で顧客の情報を一元的に管理し、360度の視点から把握できるようになります。
この取り組みは、「チームモジュール」「コネクテッドレコード」「コネクテッドワークフロー」
「Ask Zia AI」といった機能によって支えられ、部署を横断した協力体制を強化し、顧客体験を向上させます。
また、初日には、プライバシーを重視した法人向けウェブブラウザ「Ulaa Enterprise」の発表もありました。
このブラウザは、情報漏洩を防ぐデータ損失防止(DLP)ツールや、一元的なポリシー管理機能など、
強化されたセキュリティ機能を提供し、企業のブラウジング環境を安全に保ちます。
さらに、米国市場向けに「Zoho Payments」が正式にサービスを開始したことも重要な発表でした。
これにより、Zohoのサービス内でオンライン決済の受け付けが簡単にできるようになります。
これらの発表は、AIを活用した統合プラットフォームを通じてビジネスの変革を推進するという、
Zohoの強い決意を示しています。
Day 2:Zohoソリューションの活用とAIの進化
Zoholics USA 2025の2日目(5月15日)は、Zohoソリューションの具体的な活用方法や、
より高度なAI機能についての詳細なセッションが展開されました。
特に「Agentic AI at Zoho」が2日目の締めくくりのセッションとして挙げられ、
高度なAI機能がZohoの戦略的な焦点であることが改めて確認されました。
2日目のセッションでは、Zohoが提供する統合スイートの強みが強調されました。
「Zoho One」は、営業からマーケティング、財務、人事、運用まで、組織のあらゆるニーズをカバーする
「ビジネスのオペレーティングシステム」として位置づけられています。
この統合こそが、ビジネス変革の主要な柱を直接サポートします。
- 顧客中心主義:「CRM for Everyone」とマーケティング自動化ツールにより、顧客データを一元的に管理し、一人ひとりに合わせた顧客体験を提供します。
- 業務効率の向上:ワークフロー、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、AIエージェントによる自動化は、繰り返しのタスクを効率化し、生産性を向上させます。
- データに基づいた意思決定:Zoho Analyticsは、ZiaのAI機能により、生データを実用的な洞察に変換し、将来の予測や異常の検出を可能にします。
Zoho Analyticsのセッションでは、「Ask Zia for BI」という自然言語でデータを分析できる機能やデータの自動分析、
グループ分け機能などが紹介され、AIがデータ準備と意思決定に果たす役割が詳しく説明されました。
2日目のセッションは、ZohoがAIと自動化を駆使して部署間の壁をなくし、チームの能力を高め、
顧客にシームレスな体験を提供する明確なロードマップを示したと言えるでしょう。
注目すべき新製品・新機能の発表
Zoholics USA 2025では、AIの統合、プラットフォームの連携強化、
ユーザーの利便性向上というZohoの戦略を反映した、いくつかの重要な新製品や機能が発表されました。
- Ziaエージェント:
Zohoのサービス全体で複雑なタスクを自動で実行する、賢くて自律的なAIエージェントです。
Zoho Mailでの不審なメール検出や、Zoho Meetingでの会議の要約など、具体的な活用例が紹介されました。
また、オリジナルのエージェントを作成できる「エージェントスタジオ」や
既成のエージェントを利用できる「エージェントマーケットプレイス」も提供されます。 - Zoho Payments(米国市場向け):
米国での正式ローンチで、クレジットカードやACH送金(銀行口座からの直接送金)など、
複数の方法でオンライン決済をZohoのサービス内で直接受け付けられるようになります。
自動での入金照合や、安全な決済ページにより、現金の管理が簡単になります。 - Ulaa Enterpriseブラウザ:
プライバシーを重視したブラウザ「Ulaa」の企業向けバージョンです。
情報漏洩を防ぐデータ損失防止(DLP)ツール、一元的なポリシー管理機能、
AIを活用した脅威検出などが特徴です。 - Zoho Projects Plus:
中規模から大規模な組織向けの、エンタープライズグレードのプロジェクト管理プラットフォームです。
プロジェクトの枠組みを統合し、主要なZohoアプリと連携し、アジャイル、ウォーターフォール、
ハイブリッドなど様々なプロジェクト管理手法をサポートします。 - Zakya POS(米国市場重視):
中小規模の小売店向けPOS(販売時点情報管理)ソリューションです。
在庫管理、オフラインやモバイルでの請求、決済連携、一元的なウェブダッシュボード機能を提供します。 - Vaniビジュアルコラボレーション:
無限に広がるキャンバス、スマートテンプレート、ビデオ会議機能を備え、
バラバラになりがちなコラボレーションツールを一つの便利な場所に統合することを目指します。
AIと自動化が牽引するビジネスの未来
Zoholics USA 2025を通じて、AIと自動化は単なる便利なツールではなく、
ビジネスのあり方を根本から変える戦略的な土台であることが明確に示されました。
Zohoは、深く連携されたシステムとAIの活用を通じて、市場で独自の地位を確立しています。
顧客にとって、Zohoのイノベーションは、日々の業務の自動化による生産性の向上、
AIによる賢い洞察に基づく意思決定の強化、そしてよりパーソナライズされた顧客体験につながる可能性があります。
特に「CRM for Everyone」という取り組みは、部署間のスムーズな連携を促し、情報の壁を取り払うことで、
顧客との関わり方に対してより一貫性のあるアプローチを可能にします。
また、多くのビジネス機能をZohoプラットフォームに統合することで利用するベンダーの管理が簡単になり、
ソフトウェアにかかる費用を削減できることも期待できます。
競争の激しいビジネスソフトウェア業界において、Zohoの「統合されたAIファースト戦略」は、
他の企業にとって大きな挑戦を突きつけています。
AIによる機能強化とシームレスに連携できる幅広いアプリケーションスイートは、
複雑で費用のかかるサードパーティ製ソフトウェアとの連携の必要性を減らします。
加えて、プライバシーを重視する姿勢と自社でのAI開発へのこだわりは、
企業がAIシステムでのデータ利用に慎重になる中で、明確な差別化要因となるでしょう。
今後、ZohoはAIへの継続的な深い投資、特にAIエージェント機能の推進と、
プラットフォーム全体での文脈を理解するAIの強化を進めるでしょう。
ユーザー体験のさらなる統合と、「CRM for Everyone」の考え方の拡大を通じて、
ビジネスのあらゆる側面で誰もがAIを利用でき、部署を横断した協力が実現することを目指しています。
これは、統合されたデータ資産を最大限に活用し、競争優位性を確立するための重要なステップであると、
私たち船井総合研究所は分析しています。
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船井総研はZohoの認定パートナーです!
船井総研では、コンサルティング会社として中小・中堅企業様をご支援する中で、
Zohoを利用した業務改善も多数行っています。
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