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近年、企業の競争力強化に不可欠なDX(デジタルトランスフォーメーション)において、
システム開発の内製化が注目されています。特に経営リソースが限られる中堅・中小企業では、専門知識がなくても短期間でシステムを構築できるノーコード・ローコード開発ツールが有効な手段です。
これらのツールを活用することで、ITベンダーへ依頼することなく自社内で、システム開発の費用や時間を大幅に削減することが可能です。開発スピードの向上は、市場や顧客ニーズの変化に迅速に対応し、ビジネス変革を加速させる原動力となります。
一方で、ツールを使用する際のメリットと注意点を把握しておくことが大切です。
今回はそのメリットと注意点を細かく解説していきます。ツールの選定にあたっては、開発目的や要件を明確にし、必要な機能や既存システムとの連携、サポート体制を十分に確認することが重要になります。
船井総合研究所では、業種ごとのノウハウとZohoなどのツール活用支援を通じて、中堅・中小企業の皆様のローコードDX推進をサポートいたします。
ローコード・ノーコードツールとは
フルコード開発(スクラッチ開発)では、既存の枠にとらわれず、ゼロから独自のシステムを構築できます。複雑な仕様を必要とする銀行のシステムや工場の管理システムなど、規模が大きいシステムがフルコード開発されています。
例えば、JavaやCなどの実行速度が速いプログラミング言語では、安定性と堅牢性が高いため、業務システムや基幹システムを開発できます。
一方で、フルコードでは十分なプログラミング知識を必要とするため、自社内で構築する場合より、ITベンダーやSIerに発注することが多く、時間と費用がかかります。
次に、ローコードとは、「なるべくソースコードを書かない」開発手法を指します。フルコード開発に比べてコード記述量を大幅に削減できますが、一部のソースコード記述が必要になる場合もあります。この特性により、ローコードはノーコードに比べて拡張性が高く、より高性能で複雑なシステム開発に適しているという特徴を持ちます。
ローコードサービスの一例として、Zohoが挙げられます。
Zohoは、顧客管理、マーケティング、会計、人事など、多岐にわたるビジネスアプリケーション群を統合的に提供するクラウドプラットフォームです。
Deluge(デリュージ)という独自の言語を用いて既存アプリ内にカスタム機能を追加したり、外部サービスと連携させたりすることで、専門的なコーディング量を抑えつつ、企業の多様なニーズに合わせたシステムを構築することが可能です。
ほかにもOutSystemsやintra-martなどがあり、
業務システム開発やワークフロー機能を用いてビジネスプロセス管理を行うことも可能です。
そして、ノーコードとは、ソースコードを記述することなく、アプリケーションやWebサービスを開発できるサービスです。プログラミングの専門知識は一切必要なく、画面操作だけで直感的に開発を進めることができます。
これにより、IT人材が不足している状況下において、これまでシステムの利用者であった非エンジニアの方々が、IT人材として活躍できる可能性が生まれます。
ノーコード開発ツールは、主にテンプレートの活用やドラッグ&ドロップといった簡単な操作で開発を可能にするため、誰でも比較的容易にシステム構築に取り組めます。
ノーコード開発の具体例としては、kintone(キントーン)が広く知られています。kintoneは、業務管理サービスを「アプリ」として簡単に作成でき、マウス操作でテキスト、日付、選択肢などを配置し、必要な項目を定義するだけで、顧客管理、案件管理など、様々な業務アプリをプログラミングなしで構築できます。
ほかにも、ECサイト運営に必要な機能が網羅されているBASEや、社内ワークフローの改善、簡易データベースアプリなどを構築できるMicrosoft Power Appsが挙げられます。
これらのツールは、専門知識がなくても直感的な操作でシステムを構築できるため、現場の担当者が自らの手で業務課題を解決するシステムを素早く作り出し、試行錯誤しながら改善していくことが可能です。
フルコード開発 | ローコード開発 | ノーコード開発 | |
---|---|---|---|
専門知識 | プログラミング の専門知識が必須 | 一部のプログラミング 知識が必要 | プログラミング知識 不要 |
開発スピード | 時間がかかる | 比較的早い | 非常に速い |
開発費用 | 高い | 中程度 | 低い |
カスタマイズ性 ・拡張性 | 非常に高い (ほぼ無限) | 高い | 制限がある |
複雑なシステム | 適している | 適している | 不向きな場合がある |
内製化のしやすさ | 難しい | 中程度 | 容易 |
プラットフォーム 依存 | 低い | 中程度 (ツール・フレーム ワーク依存) | 高い(ツール依存) |
ノーコード・ ローコードの良さ | 完全な自由度と拡張性 がある一方で、専門 的なIT人材の確保や開 発期間・コストが大き なハードルとなる | 中小企業においては、 学習コストが低く、迅 速にシステムを構築・ 改善できる ローコード開発が、 そのギャップを埋める 現実的な解決策となる | 現場の担当者が自らシ ステム開発に参加でき るようになり、ビジネ スのスピードを落とす ことなくDXを推進する ことが可能になる |
このように、フルコード開発が持つ完全な自由度や拡張性がある一方で、専門的なIT人材の確保や開発期間・コストが大きなハードルとなります。
特にIT人材が不足し、予算や時間の制約が大きい中小企業においては、学習コストが低く、迅速にシステムを構築・改善できるノーコード・ローコード開発が、そのギャップを埋める現実的な解決策となるのです。
これにより、本来の業務知識を持つ現場の担当者が自らシステム開発に参加できるようになり、ビジネスのスピードを落とすことなくDXを推進することが可能になります。
このような背景を踏まえ、船井総合研究所では、世界中で利用されているクラウド型ビジネスアプリケーションであるZohoを活用し、中堅・中小企業の皆様の「ローコードDX」推進をご支援しております。Zohoは多様な機能を備えており、高いコストパフォーマンスで最適なシステム構築を実現いたします。
中小企業のDX推進における課題とノーコード・ローコードの可能性
日本の多くの企業では、システム開発をITベンダーに外部委託する形態が一般的になっています。この慣習は、システムの内部仕様がブラックボックス化してしまうリスクや、保守費用が増大する要因となることがあります。
こうした状況から脱却し、競争上の優位性を確立するためには、自社でのシステム構築や運用能力を高める「内製化」に舵を切ることが有効です。
しかし、専門的なスキルを持つIT人材の確保は、特に経営リソースが限られた中堅・中小企業にとって大きな課題となります。
ここでノーコード・ローコードツールが内製化への近道として注目されています。これらのツールは、プログラミングの専門知識がない社員でもシステム構築を容易にするため、社内の人材を有効活用できます。
DXとは、単にデジタル技術を導入するだけでなく、
テクノロジーを前提としたビジネスモデルや顧客体験の変革を通じて、企業の競争力を強化し、持続的な成長を実現する取り組みです。内製化により、市場や顧客ニーズの変化に迅速かつ柔軟に対応できるシステム開発体制を構築することは、DX推進において重要な要素となります。
船井総合研究所は、過去50年以上にわたり業界・業種に特化したコンサルティングで培ったノウハウと、中堅・中小企業における既存管理システムのリプレイス実績を豊富に有しております。ノーコード・ローコードツールを活用した内製化支援を通じて、中小企業の皆様のDXを加速させるご支援が可能です。
ノーコード・ローコード開発のメリット
ノーコード・ローコード開発ツールを活用することで、様々なメリットが得られます。
まず、開発スピードが非常に速い点が挙げられます。
ソースコードを書く必要がなくなるため、実装に要する時間が大幅に短縮されます。これにより、新しいアイデアや必要なシステムを迅速に形にすることが可能となります。
次に、開発にかかる費用と時間を削減できる点が大きなメリットです。外部のエンジニアに開発を依頼する場合と比較して、内製で開発を進めることでコストを抑えることができます。また、開発期間の短縮は、プロジェクト全体の費用削減にも繋がります。
さらに、プログラミングの専門知識が不要であるため、IT部門に限らず、現場の業務担当者自身がシステム開発に携わることができます(ノーコードの場合)。これにより、「現場担当者→社内SE→ベンダー→プログラマー」といった従来の多段階の関係者を劇的に減らすことができ、仕様の伝達ミスなどを防ぎ、よりユーザーの要望に沿ったシステムを迅速に開発できます。
関係者が減ることで、時間やコスト、工数が削減され、その分のリソースを、新商品開発や顧客満足度向上など、より戦略的な業務に集中させることが可能になります。
これらのメリットは、DX推進において不可欠な「迅速な意思決定と実行」を加速させ、ビジネス変革の推進力となります。また、船井総合研究所が支援するBI(ビジネスインテリジェンス)導入による情報の一元化や業務プロセス改善、コスト削減といった成果も、このようなツール活用によって効率的に実現できます。
ノーコード・ローコード開発の注意点
ノーコード・ローコード開発ツールは多くのメリットを提供しますが、いくつかの注意点も存在します。
ノーコードツールは、あらかじめ用意されている機能やテンプレートを利用するため、定型的なことしかできない場合があります。大規模で複雑なシステムや、独自の高度な機能を実装したい場合には、機能が制限され、不向きとなることがあります。
また、利用するプラットフォームへの依存リスクが高い点が挙げられます。プラットフォームの仕様変更などが発生した場合、開発したシステム従来使用してきた物と異なる可能性や、デザインやセキュリティ面でも、ツールの提供範囲に制限が出る場合があります。
さらに、システムの問題だけではなく、システムを構築するにあたって基礎的な設計方法のスキルは必要となります。
ノーコードであっても、ツールの操作方法だけでなく、システム全体のロジックやデータ構造、デザインの基礎などを理解する必要があり、これらの基礎スキルが不足すると、思い通りのシステムを構築できないことがあります。
プロジェクトの目的やツールの限界を見極めずに進めると、後から機能追加や仕様変更が困難になったり、結局ゼロから作り直す必要が生じたりする「学び直し」のリスクも発生します。
中小企業がノーコード・ローコード導入で
成果を出すために
ノーコード・ローコード開発で最大限の成果を得るためには、導入前の準備とツールの賢い活用が鍵となります。
まず、導入前の準備では、開発したいサービスやアプリケーションの要件、そしてプロジェクトの目的を明確に定義することが重要です。短期的なプロトタイプ開発なのか、長期的な運用を目指す基幹システムの一部なのかによって、適したツールや開発手法は異なります。
次に、ツールの活用として、明確にした要件に基づいて、必要な機能やスペック、そして既存システムとの連携が可能なツールを選定する必要があります。ツールの導入形態(クラウド型か自社のサーバーに構築を行うオンプレミス型か)も、予算やセキュリティ要件に応じて慎重に検討してください。
ノーコード・ローコード開発は内製化を推進する有効な手段ですが、複雑な要件や将来的な拡張が見込まれる場合は、最初から本格的なコーディングを検討するか、ノーコード・ローコードと従来開発を組み合わせるアプローチも有効です。
船井総合研究所は、豊富な業種別ノウハウに基づいた最適なシステム設計提案、貴社に合わせた柔軟なカスタマイズ、そして導入後の手厚いサポートを通じて、中堅・中小企業の皆様のノーコード・ローコード導入を成功に導くご支援が可能です。データに基づいた意思決定や顧客ニーズの把握といったDX推進に必要な要素も、コンサルタントの知見とツール活用を組み合わせることでサポートいたします。

船井総研はZohoの認定パートナーです!
船井総研では、コンサルティング会社として中小・中堅企業様をご支援する中で、
Zohoを利用した業務改善も多数行っています。
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