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CRM導入において、

現場が使いこなせない…

結局、Excelに戻ってしまう…

要件定義が甘く、何度も仕様変更が発生した
といった声をよく耳にします。
これらの多くは、導入前後のプロセス設計や運用フェーズの見通しが不足していることに起因します。
そこで注目されるのが「CRMコンサルティング」です。
CRMコンサルティングとは、単なるツール導入支援にとどまらず、
企業の業務課題を深く理解したうえで、
業務設計・要件定義・初期設定・運用定着までを一貫して支援する専門サービス
を指します。
CRMが現場で実際に使われ、業務改善や売上拡大につながるように導くことが、その本質的な役割です。
特に日本の中堅・中小企業では、
- 何から始めればよいか分からない
- 要件をうまくまとめられない
- 現場の理解が追いつかない
といった課題が多く、ツールの機能理解だけでは解決が難しい場面が頻出します。
こうした状況に対し、CRMコンサルタントが外部から伴走しながら、
社内の業務プロセスとITをつなぎ、段階的な導入と改善の道筋を示すことが成功の鍵となります。
本記事では、そうしたCRMコンサルティングの視点から、
CRM導入を確実に成功へ導くための3つのフェーズをご紹介します。
これらは、船井総合研究所が中堅・中小企業向けに実践しているプロジェクトモデルをベースに構成されています。
CRMコンサルティングで失敗を防ぐには?3つの落とし穴
CRMの導入において失敗してしまう多くの企業には、共通する3つの落とし穴があります。
それは「要件定義の曖昧さ」「初期設計の過剰さ」「現場の巻き込み不足」です。
1つでも欠けているとプロジェクト全体の成功率を大きく下げてしまうリスク要因となります。
要件定義の曖昧さが生む混乱
CRMの導入で最も多いトラブルが、
- 想定していた業務に対応していない
- 欲しかった機能がない
といった要件定義のズレです。
この原因は、プロジェクト初期段階で現場の業務詳細や実務の流れを正確にヒアリングできていないことにあります。
CRMコンサルティングにおいては、業務フロー図やヒアリングシートを活用し、
現状業務と理想業務のギャップを丁寧に整理することが不可欠です。
特に営業、マーケティング、カスタマーサポートといった各部門で顕在化している課題を把握したうえで、
「CRMで解決すべきこと」を明確にする必要があります。
現場が業務で日々利用しているExcelや帳票、SFAのメモ機能、
メールでのやり取りの流れまで詳細に把握することで、初めて要件が具体化し、開発に移す土台が固まります。
初期設計で全機能を盛り込みすぎるのは危険
CRM導入時にありがちなのが、「これもできる」「あれもやりたい」と、
将来必要になりそうな機能をすべて盛り込もうとするケースです。
しかしこれは非常に危険で、システムが複雑になりすぎて、現場が使いこなせずに形骸化することが多々あります。
CRMは「業務で日常的に使われる」ことが最も重要です。
最初の段階では、商談進捗の共有、顧客データベースの一元管理、ダッシュボードによる簡易なレポート作成など、
基本機能に絞って運用を開始するべきです。
船井総研では、まず標準機能のみでクイックに導入し、
その後の運用成果や現場の声に応じて個別開発を段階的に行うスタイルを採用しています。
この進め方により、使われない機能や無駄な開発工数を削減し、スムーズな定着を実現しています。
現場の巻き込み不足が定着を妨げる
システム導入をIT部門や経営層だけで進めると、現場の実態と乖離した要件定義となることがよくあります。
その結果、「使いにくい」「現場の業務に合っていない」といった理由で、
導入されたCRMが使われなくなってしまうのです。
CRMは、営業担当者やカスタマーサポートなど、実際に使う現場の協力がなければ定着しません。
プロジェクト初期から現場代表者をメンバーに加え、レビューやワークショップに参加してもらうことで、
「自分たちのためのシステム」であるという意識を持ってもらうことが大切です。
また、プロトタイプを早期に見せることで、現場が「使うイメージ」を持ちやすくなり、
UI/UXへの改善要求も具体的になります。
このプロセスを省略してしまうと、導入後に多くの手戻りが発生し、
再度開発・設定のやり直しというコストのかかる事態を招きかねません。
次章以降で船井総研が提供しているCRMコンサルティングの3つのステップを一例として紹介します。

CRMコンサルティング成功フェーズ①
事前トレーニングで目線を合わせる
CRM導入を成功させるための最初のステップは、プロジェクトに関わる全メンバーが
- CRMとは何か
- どんなことができるのか
- なぜ導入するのか
を正しく理解することです。
これは、想定外の手戻りや部門間の認識齟齬を防ぐために欠かせません。
船井総合研究所では、Zoho公認のトレーニングサービスである「Zoho Enabler Training」をベースに、
独自のカリキュラムを構成しています。
このトレーニングでは、CRMの基本操作から、業務プロセスとの関係、
ダッシュボードやレポートの活用方法までを網羅的に学ぶことができます。
なぜ事前トレーニングが重要なのか
多くの企業では、CRM導入前に十分な教育が行われず、プロジェクト中盤で
- 思っていたのと違った
- こんな機能があるとは知らなかった
といった認識のズレが生じます。
これらは、再ヒアリングや要件の見直しが発生し、結果としてスケジュール遅延やコスト増加につながりえます。
その点、事前トレーニングは以下の3点で大きな効果を発揮します。
- メリット1:現場と管理層の目線合わせ:部門ごとの立場の違いを超えて「CRMで何を解決したいか」を共有
- メリット2:適切な機能選定:初期フェーズでの要件定義における選択ミスを防止
- メリット3:導入後の定着促進:自分の業務にどう活かせるかをイメージできる状態をつくる
トレーニングの実施内容と流れ
船井総研の場合、主に以下で構成されたトレーニングを提供します。
- CRMの全体像を理解する(座学)
- CRMの役割と必要性
- Zoho CRMでできることの全体像・デモ形式
- 各機能の実践的な活用方法を学ぶ(演習)
- 業務シナリオに即したワークショップ
- 自社の営業やサポート業務を想定したケーススタディ
- ディスカッションと仮説検証
- 各部門の視点からCRMに必要な機能を共有
また、船井総研では豊富なCRM コンサルティング実績から、
お客様の業態に沿った事例をトレーニングの中に提供しながら進めることが可能。
こうしたトレーニングにありがちな
「うちの業界と違う」
「活かし方がわからない」
といった活用しにくい内容を極力省き、実践事例に沿った内容を提供いたします。
トレーニングがプロジェクト成功にもたらす効果
トレーニングを通じて、CRMプロジェクトに関わる全員が共通の土台を持つことができ、
以下のような効果をもたらします。
- 「あるべき業務プロセス」の具体化と整理がしやすくなる
- IT部門と現場の間で“かみ合った”会話ができる
- プロトタイプレビュー時に、建設的なフィードバックが可能になる
特に中堅・中小企業では、業務プロセスが形式知化されておらず、属人化しているケースが多いため、
トレーニングは要件定義前に必要な“翻訳プロセス”ともいえます。
CRM導入を単なるIT化にとどめず、「現場で使われ、業績を支える仕組み」として根づかせるためには、
こうした教育フェーズを通じた共通理解が不可欠です。
CRMコンサルティング成功フェーズ②
早期デモ構築で現場視点の確認
次に重要となるのが、早期のデモ環境構築です。
これは、CRM導入の成否を左右する要件定義フェーズにおいて、最も実践的かつ効果的なアプローチといえます。
単なる設計図ではなく、実際に操作可能なCRM画面を早期に提示することで、
関係者が「自分ごと」として捉えやすくなり、現場とシステムの乖離を未然に防ぐことができます。
なぜ“早期”にデモを構築するのか?
CRM導入に失敗するケースでは、
「完成してから現場に見せた結果、期待とズレがあった」
という声が非常に多くあります。
これは、“実際の画面や動作イメージを持たずに要件をまとめてしまう”ことが主な原因です。
そこで船井総合研究所では、導入プロジェクトの初期段階でデモ環境を用意し、
貴社の業種や商流に沿った営業プロセスや管理指標を反映させた初期設定を提示します。
そのうえでデモ環境を随時改善していくアプローチを重視しています。
デモ構築に活かされる800社以上の業種別ノウハウ
船井総研では、これまでに800社以上のCRM導入支援実績があります。
各業種において営業プロセスやKPI、案件管理のポイントは異なりますが、
それぞれに応じた「成功事例テンプレート」を保持しており、短期間でのフィッティングが可能です。
例:製造業の場合
- 顧客別の提案履歴と製品別受注履歴を可視化
- 見積・案件・納期・クレーム対応までの一元管理
- ニーズカード、他社機器情報の収集
- ランク別の訪問管理
- Excel文化からの脱却を促すダッシュボード提案
現場レビューによる要件の深掘りと手戻り防止
デモ環境をもとに現場担当者とレビューを行うことで、次のような効果が得られます。
- 「操作のしやすさ」「用語のわかりやすさ」など、UI/UXに関するフィードバック
- 実運用を想定した確認により、隠れていた業務要件の抽出
- 初期設計段階での認識齟齬を減らし、手戻りを最小限にする
このフェーズでは、「納得感」と「具体性」を関係者全員に持たせることが鍵です。
図面ではなく実物(デモ)を見てから判断するという、業務視点でのシステム設計が成功につながります。
デモレビュー後の対応ステップ
- レビュー会議での意見集約
- 重要要件と希望要望を切り分けて整理
- デモ環境の修正または正式要件への反映
- 最終仕様確定の合意形成へ
このプロセスを通じて、実業務とのズレを埋めながら確実なシステム構築が可能となり、
以後の開発・運用が非常にスムーズになります。
CRMコンサルティング成功フェーズ③
段階的な開発で現場定着を実現
CRM導入の最終フェーズでは、段階的な開発と運用の組み合わせによる“定着”がテーマになります。
多くの失敗プロジェクトでは、「すべての機能を一気に詰め込み、現場が混乱する」ことが問題となります。
だからこそ、現場の状況や理解度に合わせて、少しずつ機能を追加していくアプローチが求められるのです。
最小構成でのスモールスタートが成功の鍵
まずはCRMの標準機能(顧客管理、商談管理、タスク共有、ダッシュボードなど)に限定して運用を開始します。
これはいわば業務の“骨格”を作るフェーズです。
過度な個別開発は行わず、現場がCRMの操作や概念に慣れることを優先します。
この段階で、実際に現場が使いこなせるか、入力や確認作業にストレスがないか、
マネージャーが正しく情報を把握できるかなどを確認しながら、現実に即した改善のタネを拾い上げます。
運用しながら見えてくる要望は、後続のフェーズでの開発項目として整理されていきます。
現場フィードバックをもとに優先順位を決定
次のステップでは、現場からのフィードバックを集約し、「本当に必要な機能は何か」見極めます。
たとえば、「見積書をワンクリックで出したい」「対応履歴を時系列で見たい」といった声があれば、
それを具体的な開発要件として定義していきます。
このとき、全要望を一度に実装するのではなく、
優先度・業務インパクト・開発コストをもとに段階的に実現していきます。
これにより、現場の混乱を防ぎながら、実際に効果の出る機能から順に拡張していくことができます。
CRMは導入して終わりではありません。
導入後の活用フェーズでこそ、業績や業務改善に寄与する真価が問われます。
そのためにも、段階的開発による柔軟な拡張と、PDCAをまわすプロジェクト体制が不可欠です。
CRMコンサルティング会社を選ぶときの3つの視点
CRM導入の成功率は、どのパートナーと組むかで大きく変わります。
単なる設定代行やツール導入ではなく、業務理解と現場定着に寄り添う“CRMコンサルティング”の力が求められます。
ここでは、自社に最適なCRMコンサルティング会社を選ぶための3つの視点をご紹介します。
業界理解と業務設計力があるか?
CRMは業務に根ざして使われるツールであるため、
業界特有の商流や業務プロセスを理解しているかは非常に重要なポイントです。
製造業・卸売業・建設業など、それぞれで営業スタイルや管理項目は異なります。
テンプレートの横展開では限界があるため、自社の業務に合ったCRM設計を提案できるパートナーが望ましいです。
さらに、現状業務のヒアリング力や、課題を整理する力があるかも確認しましょう。
「なぜそれが必要か?」を深掘りできるコンサルタントは、現場との橋渡し役として非常に心強い存在であるため、
自社の業務に合ったCRM設計を提案できるパートナーが望ましいです。
船井総研では、800社以上のZoho導入実績を通じて蓄積された業界別のナレッジを活かし、
各業種に強い支援体制を整えています。
現場の商流や管理指標、業務の言葉に精通したコンサルタントが担当し、
最適なCRM設計を具体的に提案できます。
導入初期から運用定着まで一貫支援できるか?
導入前の要件定義だけでなく、トレーニング・初期運用・定着支援までカバーしてくれるかも重要な判断基準です。
一時的な関与だけでなく、スモールスタートから段階的に伴走し、
現場に寄り添いながらシステムを成長させていく体制が整っているかを見極めましょう。
たとえば、トレーニングプログラムが用意されているか、定例会などのプロジェクト管理体制があるか、
運用開始後のQA対応や改善提案まで行っているかなどを確認することで、支援の継続性が判断できます。
船井総研では、日本で唯一のZoho公認トレーニング「Zoho Enabler Training」を活用した教育支援と、
定例MTG・改善提案・逐次開発を含む一貫支援体制を提供しています。
単なる「作って終わり」ではなく、「使われ続けるCRM」にするための運用設計を重視しています。
ノーコード/ローコード開発への理解と柔軟性があるか?
近年のCRMは、Zohoのようにノーコードやローコードでのカスタマイズが主流となりつつあります。
この領域に精通し、自社内で内製化することを前提に育成支援を行ってくれるかどうかも、
CRMコンサルタント選びでは重要です。
単なる“外注任せ”ではなく、自社のITリテラシーを高めながら運用していけるよう、
構築ノウハウを共有してくれるパートナーかどうかを見極めましょう。
船井総研では、CRM構築の主目的を“自走化”と位置づけており、
必要に応じてカスタマイズ支援を行いながら、最終的には内製運用へとつなげる教育支援も実施しています。
ノーコード開発のガイドラインや、運用マニュアルの整備支援など、将来を見据えた体制作りにも力を入れています。
おわりに:CRM導入はプロセス設計が9割
CRMを導入する目的は、「顧客情報を一元化すること」や「営業の見える化」だけではありません。
最終的なゴールは、業務効率の向上と売上・利益の最大化にあります。
そのためには、システムそのものよりも、どう活用するか、誰がどのように使うか、という運用設計こそが重要です。
CRM導入の現場では、
「最初から全部盛りで設計して頓挫する」
「現場の納得感を得られず形骸化する」
「外部ベンダー任せで自社に合っていない」
といった問題が頻繁に起こります。
こうした失敗を避けるためには、段階的な導入と柔軟な改善プロセスの設計が不可欠です。
本記事で紹介した3つのフェーズ(①事前トレーニング、②早期デモ構築、③段階的開発)は、
まさにプロセス設計を中心に据えたCRM導入モデルです。
そして、この設計と実行をリードするのがCRMコンサルティングの役割です。
中堅・中小企業がCRMを単なるITツールではなく、経営に活きる仕組みとして根付かせるには、
現場と経営の橋渡しを行う“プロセス主導型”の導入アプローチがカギとなります。
CRM導入は技術ではなく、設計と運用の戦略です。
今後の成功に向けて、ぜひCRMコンサルティングの力も選択肢に入れてみてください。

船井総研はZohoの認定パートナーです!
船井総研では、コンサルティング会社として中小・中堅企業様をご支援する中で、
Zohoを利用した業務改善も多数行っています。
「社内の業務をDXしたいけど何から手を付けたら良いかかわからない」
「Zohoと他サービスの違いを詳しく教えてほしい」
「Zoho導入に際しての費用やスケジュール感を聞きたい」
「他社がどのようにZohoを活用しているのか具体的な事例を知りたい」
「レガシーシステムからZohoに移行したい」
など、ご不明点がございましたらお気軽にお問い合わせください!